導入事例
株式会社Lond
美容師になった当初からITツールに触れていたという甲斐さんは、自身でオープンさせたサロンでも開店と同時にITツールを導入しました。
「独立前に勤めていたヘアサロンでも、お客様の様々な情報を収集・蓄積・分析するシステムが組み込まれたレジを導入していたのですが、決して使いこなしているとはいえない状態でした。経営的な判断から、美容師が見られる情報も制限されていて……。当時から僕は、データや数字のなかにお客様に喜んでもらうためのヒントや、スタイリストが向上心をもってイキイキと働くための答えがあるのではないかと感じていました」。
そんな思いから、2013年に開店した1号店では、店舗の売り上げはもちろん、美容師ごとの個別の売り上げや新規指名の数、リターン率や来店周期、オーダーを受けたカラーやカットといったメニューの比率から失客数まで、すべてのデータをスタッフの誰もが見られるようにしたそうです。
「ガムシャラに頑張っても、成果には結びつきづらい。自分と周りを比較し、自分の強い部分と弱い部分を認識するためには、数字やデータで明確化することは、すごく有効な方法だと感じています。それぞれがITツールから得られたデータを分析して努力した結果、うちではヘアサロンの平均的な新規客のリターン率といわれている30%を大きく超え、80%近くの方がリピートしてくれています」。
甲斐さんのサロンは、1号店のオープンから約5年で、国内、海外合わせて10店舗にまで拡大しましたが、これまでひとりの離職者も出していません。「ITツールの活用と従業員の日々の努力によって、一般企業と比べても遜色のない待遇を実現した。しかし、“離職者ゼロ”の理由は、それだけではない」と甲斐さん。
「私たち管理者がITツールで数字やデータを見ることは、スタッフの一人ひとりに目を向けることにつながります。スタッフの得意・不得意をデータから読み解いて、適切なアドバイスをしてあげることで、自分が会社にとって大切な存在だと認識してくれる。だから、イキイキと働くことができる。ITツールの活用には、そんな効果もあると思います」